岩手県エリア巡礼地

12 小本小学校奇跡の130段の階段

太平洋に臨む岩泉町小本地区は、小本川沿いに半農半漁の住民158世帯、428人が暮らしている。小本小学校は同地区の奥に位置し、背後には国道45号が横切っているが、高さ十数メートルの切り立ったがけに阻まれ、逃げ場がなかった。

同小の避難ルートは以前は別だった。住民からの強い要望で、数年前の避難訓練の際、伊達勝身町長が「児童が津波に向かって逃げるのはおかしい」と国土交通省三陸国道事務所に掛け合って変更。平成21年3月に国道45号に上がる130段、長さ約30メートルの避難階段が完成した。

今回の巨大津波は小本地区と川を挟んだ中野地区(175世帯、422人)を直撃。130棟の家屋をのみ込み、校舎手前の民家もなぎ倒した。児童は予想外のスピードで迫る津波から逃れるため、避難階段を必死に駆け上り、高台の広場に逃げ込んだ。校舎と体育館は水に浸かり、今も使えない。

高橋渉副校長によれば、階段のおかげで避難時間が5~7分短縮できたという。広場の倉庫には毛布やテントも用意してあった。児童88人を救った130段の階段、高橋副校長は「あと10分、避難が遅れていたらどうなっていたか分からない。少なくとも何人はけがをしていたかもしれない」と胸をなで下ろした。
所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町小本大牛内318-1